青色申告の特典をフル活用しよう!

【青色申告制度とは】
日本の個人所得税は、納税者の方がご自身で所得金額と税額を正しく計算して、納税をするという申告納税制度を採っています。
そこで、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする方については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。
青色申告をすることができるのは、不動産所得、事業所得、または、山林所得に限られています。
青色申告による確定申告を行うためには、一定の要件を満たす必要があります。
①青色申告承認申請書を税務署長に提出して、その承認を受けること
青色申告承認申請書の提出期限は、以下の通りです。
イ)新たに青色申告の申請をする方は、青色申告をしようとする年の3月15日まで
ロ)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)には、業務を開始した日から2月以内
※ 法人の場合には、原則設立日以後3月以内なので、1か月早いことに注意が必要です
ハ)相続により業務を承継した場合
被相続人が青色申告者の場合(死亡の日がその年の1月1日から8月31日) … 死亡の日から4か月以内
被相続人が青色申告者の場合(死亡の日がその年の9月1日から10月31日) … その年12月31日
被相続人が青色申告者の場合(死亡の日がその年の11月1日から12月31日) … 翌年2月15日
②帳簿及び書類の保存
青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっています。
これらの帳簿および書類などは、原則として7年間保存することとされていますが、書類によっては5年間でよいものもあります。
5年間の保存でよい書類には、例えば、請求書、見積書、納品書、送り状などがあります。
【青色申告の特典】
- 青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与の必要経費算入
- 純損失の繰越控除と繰戻還付
- 現金主義による所得計算の特例
- 更生の制限
- 貸倒引当金(不動産所得は適用外)
①青色申告特別控除
イ)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を複式簿記によって記帳をして、貸借対照表および損益計算書を添付した確定申告書をその提出期限までに提出している場合には、原則として最高55万円の青色申告特別控除額の控除を受けることができます。
(注1)電子帳簿保存(※)またはe-Taxによる電子申告を行っている場合は、最高65万円の青色申告特別控除が受けることができます。
※ 最高65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年分の事業における仕訳帳および総勘定元帳について優良な電子帳簿の
要件を満たして電子データによる備付けおよび保存を行い、一定の事項を記載した届出書を提出する必要があります。
ロ)上記イ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得および山林所得から最高10万円を青色申告特別控除額の控除を受けることができます。
⇒ 事業的規模に至らない程度の規模の不動産所得の場合や簡易帳簿(例えばExcelによる収支の集計)による記帳の場合には、10万円の特別控除を受けることとなります。
②青色事業専従者給与の必要経費算入
事業的規模に該当する不動産所得である場合、生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人(青色事業専従者(※))に支払った給与については、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で、専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
※ 青色事業専従者とは、青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であり、その年の12月31日現在で15歳以上であること、その年を
通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら
従事している者をいいます。
なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける方は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれませんので、注意が必要です。
詳細については、国税庁HPコード2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」をご参照ください。
➂純損失の繰越控除と繰戻還付
イ)純損失の繰越
不動産所得や事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。
なお、令和5年4月1日以降に特定非常災害の指定を受けた災害より生じた純損失の金額について、以下の場合には、次の損失額については繰越控除期間が3年間から5年間へと延長されます
A)保有する事業用資産のうち、特定非常災害に指定された災害により生じた損失(特定被災事業用資産の損失)の割合が10パーセント以
上である場合、青色申告者についてはその年に発生した純損失の金額
B)特定被災事業用資産の損失の割合が10パーセント未満の場合には、特定被災事業用資産の損失による純損失の金額
(注)特定非常災害とは、(特定非常災害の被害者の権利利益の保全等をはかるための特別措置に関する法律)第二条第一項の規定により
特定非常災害として指定された非常災害をいいます。
ロ)純損失の繰戻し
前年も青色申告をしている場合には、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年分の所得金額に繰り戻して控除し、前年分の所得税額の還付を受けることもできます。
④現金主義による所得計算の特例
前々年分の不動産所得、事業所得の金額の合計額が300万円以下である青色申告者は、現金主義によって所得の金額の計算をすることができます。
適用を受けようとする場合には、原則として、適用を受けようとする年の3月15日までに『現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書』の提出が必要です。
⑤更正の制限
白色申告者の場合には、推計により更正を受けることがありますが、青色申告者の場合には、原則として帳簿書類の調査によりこれらの金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、更正を受けることとなり、推計により更正を受けることはありません。
また、更正される場合には、更正通知書に必ずその更正の理由が付記されることとなります。
なお、不動産所得の青色申告については、以下のリンク先にも詳しく解説されています。
不動産所得がある場合の青色申告のやり方やメリットを分かりやすく解説!(株式会社TxTo様:タックスナップメディア)
https://taxnap.com/media/?p=539
最終更新日:2025年3月18日